スウェディッシュマッサージの習得において大切なポイントとは
200年の歴史を誇る、別名クラシカルマッサージとも呼ばるスウェディッシュマッサージは、2種類の基本姿勢があります。
その2種類の基本姿勢とは、
その名の通り馬に乗るような体制の「乗馬姿勢」と、
フェンシング選手が片足を前に出して攻める際の「フェンシング姿勢」です。
この基本姿勢を守りつつ、110種類以上にものぼるスウェディッシュマッサージの手技を、よどみなく流れるように施術していく事は、その全ての手技を習得し、さらにそれを頭で考えながらではなく、体が自然に動くようになるまで鍛錬をしなければならないため、非常に難しいものとなります。
スクールの実習内で、生徒さんによく指摘するポイントとして、
- 基本姿勢をしっかり意識しながら行うこと
- 手の力を抜いて指先までしっかり密着させること
- 手や指の力ではなく、肩関節と骨盤の連動による体重移動を動力として手を動かすこと、
このあたりのお話は、実習中幾度と無く、それこそ耳にタコがてきるかもしれないほどに、アドバイスを続けていくことになります。
目線の先を意識する
そして、これらの法則と同時に、とても重要なのが、
「セラピストが見ている方向」
つまり
「目線の先がどこに向かっているか」
なのです。
言われた通りに体を動かし、また、習った通りに手を動かせていたとしても、
「何か違う気がするんだけど・・・」
といった、府に落ちない様子で、どこかぎこちない動きをしていた生徒さんに対して、
「目線をこちらに向けてください」
と見る方向を指示をした瞬間、ぐっと動きが良くなり、それに伴い、体の動きもスムーズになる、と言うことがよくあります。
40代で初の教習所通い
今から5年ほど前、家族3人で東京から山梨へ移住をしました。
移住するにあたって、交通の便の良い都内での暮らしに比べて、車がなければ暮らしていけない場所に住むことになり、「一生車の運転をすることはない!」と言い切っていたはずの私が、一念発起で、40代で初めて教習所に通いました。
移住を数ヶ月後に控えたタイムリミットがある中で、文字通り必死になって車の運転の実技や、学科に取り組んでいました。
若い頃に免許を運転習得して、何年、いや何十年も車の運転をしている方にとっては、何も考えなくても自然にできてしまうものなのでしょうが、人生40年にして、生まれて初めて自動車の運転をした人間から見たら、
「世の中の車を運転している人たちはこんなに難しいことをしているのか」
と心底驚いた記憶があります。
「慣れている人にとっては何も考えずに当たり前にできる動作でも、未経験の人にとっては非常にハードルが高い」ということの1つとして、「車の運転」があると思います。
車の運転も「どこを見るか」が重要だった
教習所内の実技で車に乗り始めた頃、教官に何度も指摘されてもなかなかできなかったことの1つに、
「近くではなく、遠くを見ること。自分がこれから行きたいと思っている方向を見ること」がありました。
遠くを見ると車を近くの植え込みや縁石にぶつけそうな気がして怖くて、はじめのうちはどうしても窓のすぐ外や、車のボンネットの先など、近く近くを見ようとしてしまいます。
でも、怖さを感じながらも、教官の指示通り、なるべく遠く、つまり自分がこれから進もうとしている方法を見ると、いつの間にか車もそちらのほうに自然に向かっているのを見て、理由がわからないながらも感動した覚えがあります。
スキーでも重要だった「目線の先」
山梨に移住してから、近隣にスキー場が多いこともあって、冬場は毎年、スノースポーツを楽しむことが増えました。
世間はスノーボード人気が高いようですが、私はもともとそんなに運動神経に自信があるタイプではないので、運動に関しては新しいことへのチャレンジには消極的で、もっぱらスキー派です。
スキーの腕前としては、初心者がやっと中級コースを滑れるようになった位のレベルなので、専門的な事はあまりわからないのですが、家族や、上手な人からのアドバイスを受けたとき、
「目線は足元やスキー板ではなく、遠くを見ること」
「進みたい方向を見るように」
とアドバイスされ、実際にその通りにしたら、むやみやたらに踏ん張っていた足の余計な力が抜けて、行きたい方向に行けた、という経験があります。
スウェディッシュマッサージにおいても大切な「目線」
スウェディッシュマッサージは、ボディケアでありながら、セラピストの動きだけを見ると、まるでダンスや太極拳を行っているような、非常にダイナミックな動きをします。
スクールの生徒さんが手技や姿勢を、インストラクターの指示通りに動かしてみて、それでもなんとなく違うなあ、と思った時に、自分がこれから行きたい方法、進みたい方向に意識して目線を持っていくこと。
他の多くのボディケアと違い、ダンスや太極拳のように、体全体を大きく使い、スポーツの一種のような動きをする「ケアササイズ」の習得において、車の運転や他のスポーツでも重要だとされている事と共通点があった、という事は、気がついてみると、当たり前のことなのかもしれません。
今、スクールでスウェディッシュマッサージを習得すべく奮闘中の受講中の生徒さん。
そして、これから受講しようとご検討中のセラピストさん。
ぜひ、
「自分が今何を見ているのか」
「自分の目線はどこに向かっているか」
その点をしっかり意識して取り組んでいただければ、110種類の手技を誇る、世界一難しいとも言われる進化系スウェディッシュマッサージ、ケアササイズの習得において、少しは近道になるかもしれません。
「他に類を見ないこの希少なボディケア技術を習得したい」
という、向上心旺盛なセラピストさんを、甲斐駒ヶ岳の麓でお待ちしています。